miyaginagako

ひきこもごも 書簡録

気が向いたら書く

 書簡録

今春の出会い(Rへ)ー手紙の記録

春の暮れの香りがする。

市原は洛中より早く桜が散り、駅のホームにこぼれおちそうな森の新緑が美しい。

 

新年度が始まり、鴨川ではブルーシートを遠慮なく広げた大学生一派が葉桜の下を占領して新入生歓迎会を開催している。

春は落ち着きのない季節で、誰もが新しい自分を求めて右往左往しているような気がする。


サークルにも入らず放課後ひたすらに塾で働く唯一の救いは、希望に燃え上がる熱視線で上級生を焼き尽くそうとする新入生を見なくてすむことだ。

廃れた三十路には大やけどなのよ。あちち。


 
沖縄に帰郷していた兄からハブ酒が届いた。

ハブ酒は精力増強・女性なら膣刺激の効果があると手紙に書かれていたが、山奥の市原と塾の往復で黙々と膣刺激を増強し、いったい何にそなえるというのか。

Kさんが相変わらず恋をしているので、ハブ酒を譲った。

「早速飲んだよ」「見て~めっちゃ減った!」と何回も写真が送られてきて可愛い。

最近の私が見ている景色といえば、山々を静かに駆け抜ける叡山電鉄
陽の光を浴びてきらきら光る近所の猫。
競馬予想をするおしり好きの副塾長、そしてハブ酒で膣刺激してばかりいるKさん。

鈴木善幸氏みたいな顔の近所のねこ

沖縄の友人からは結婚報告が相次ぐけれど、そんな報告は私の頬を優しくなでるだけ。

修行僧のように刻苦勉励する私が、その程度で動揺すると思ったら大間違いなのだ。

新婚の兄には「青春してるか?」と言われた。
自分に酔ってらっしゃる。
やれやれでござる。

 

先日塾の事務のきれいなお姉さんには「働いて勉強ばっかりで、生活に潤いが足りていないね」と言われた。

果たしてそうだろうか。

最近私には新しい発見…というか出会いがあった。

 

最近、移動中にSpotifyビートルズを聴く。

ビートルズを最初に耳にしたのは幼稚園くらいだったと記憶している。
父の友人宅で、レコードがひたすら流されていた。

そのあともテレビやラジオでスイッチをつければ否が応でもでもビートルズ・ソングが流れるから、彼らのシングル・ヒットは一通り知っている。

でもあえて曲を探して聴こうと思ったことはなかった。

それは私にとってあくまで、テレビやラジオをつければ流れてくる「流行りもの」の音楽で、当時の私にとってはクールじゃなかったから。
ベストセラー小説を買わないのと同じように。

初めてビートルズをわざわざ探して聴いたのは元カレに熱弁されてからだ。
でもこのときは話題作りのためであって、決して熱中したわけではなかった。

 

彼と離れてずいぶん経った今、あたかも理不尽な性欲に路上で襲われるみたいに無性にビートルズの歌が聴きたくなった。

不思議にいちばん聴きたくなるのは『ホワイト・アルバム』で、市原から出町柳叡山電鉄出町柳から四条烏丸に市バスで移動する道でこればかり延々と聴いている。

 

というようなわけで、最初に耳にしたときから25年の歳月を経てやっと、ビートルズの音楽っていいなあと初めて実感したわけだ。

いいバンドだとはもちろん思っていたけれど、そんな風に目を閉じて虚心坦懐にしみじみと彼らの音楽を聴く経験は一度もなかった。

じっと聴いていると、なんだか乾いたところにどんどん水がしみこんでいくような気がした。

やっとここで私はビートルズと正当に出会えたのだと思った。


ところで、「ノルウェイの森(Norwegian Wood)」という曲をご存知だろうか。

この曲のタイトルに関して一つ興味深い説がある。

村上春樹が、ニューヨークのとあるパーティでジョージ・ハリソンのマネジメント会社に務めた女性から「本人から聴いた話」として教えてもらった内容だ(何て本に書かれていたんだったかな…『みみずくは黄昏に飛びたつ』だったと思うんだけど定かじゃない)。

 

Norwegian Woodというのは本当のタイトルではない。
最初のタイトルは“Knowing She Would”だった。

歌詞の前後から考えれば、“Isn’t it good, knowing she would?”(彼女がヤらせてくれるってわかってるのは素敵だよな)ということだ。

でもレコード会社はそんなアンモラルな文句は録音できないって拒否した。

そこでジョン・レノンは即席で、Knowing She Wouldを語呂合わせでNorwegian Woodにかえちゃったわけ。
そしたら何がなんだかわからない。

真偽のほどはともかく、この説はすごくヒップでかっこいい。
これが真実だとしたら、ジョン・レノンって人は最高だ。

そんなわけで、この春に私はビートルズと出会った。

これで十分潤ってないか?

かしこ

宮城拝

R様足下

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送付日:2024/04/20

 

生物科のヒト(Rへ)ー手紙の記録

春が来たというのに、連日雨続きで頭がつかえそうなほど雲が低い。
これじゃあせっかく満開の桜も散ってしまうだろう。

叡電に揺られて外を見ていると、ときどき晴れ間がのぞいて壮大な虹がかかったりする。
「おっ」と思うと、数分もすればまた灰色。
まるで教授の圧政に苦しんだ研究室時代のようだ。

曇天下の桜

春休みの今、私は塾でバイト漬けの日々を送っている。
8年前のデジャヴだ。

4月から生物科配属になった。
生物科は、昨年度に医学生が実習が始まるからと一斉に退職したため欠員中なのだ。
編プロ歴と臨床検査専攻を見込まれ生物科にいる。

生物科は現役科の副塾長、私と同い年の女性正社員・Kさん、私の3人しかいない。

国語科にいたときから、生物科の独特な雰囲気は噂で聞いていた。
なんせ副塾長が変な人で有名なのだ。
今ならよくわかる。

先日の懇親会で先生の隣になったとき、おしりとおっぱいどちらに魅力があるかという話になった。

私がおっぱいを推すと、おしり派の先生が謎の‟方法的おしり懐疑論の否定”を唱えてきた。

かつてフランスの哲学者デカルトは、徹底的な懐疑を通じて確実な心理に迫ろうとした。
目の前にあるおしりの存在について徹底的な懐疑の念を持つべきだ。
今そこにあるおしりは何か。
それを飽かず見る己はいったいなにか。
それを繰り返し問い続けるうちに、おしりは世界の中で私と対峙する一つの純粋な存在として抽象化され、私を理不尽に魅了することを辞めるはずだった。

にもかかわらず、私は女性のおしりが好きなのだ。
性欲…いや遺伝子レベルでの生存本能による方法的おしり懐疑論の反例だ、と。

先生の進化論はこうだ。

大昔、人間は四つん這いになって歩いていた。
それゆえにその時代、おっぱいは普段見えない位置にあったから、雄たちはまったく気にしなかった。

長くおしりの時代が続いた。

だが人間が進化して二足歩行をするようになると、おしりのカリスマ性は少しずつ衰退し、変わって圧倒的な勢力を持って台頭したのがおっぱいだ。
なにせ見やすい場所にあり、しかもおしりに相似形だから、みんな勘違いして興奮したんだ。

逆立ちして歩くように進化していたら、ざらざらした膝小僧に興奮していたかもしれない。
おっぱいに絶対性などない。
むしろあるのはおしりだ、と。

そのときの先生の表情と言ったら、入塾説明より真剣だった。
何言ってんだこの人は。

 

かたやKさんはいま、年下の大学院生にお熱だ。
付き合いたてで不安なことが多いそうで恋愛相談をされるが、年下に惚れたことがないので言葉に詰まる。

楽しそうでうらやましいと伝え女子トークが盛り上がってきたところで、副塾長がバッタの繁殖方法を語り出して見事に場をしらけさせる。

恋愛観についてどこまで客観的な本音を挟むのか、私は男女で対応を替えているように思う。

男性には率直な意見を言う。

女性には「共感」をオブラートして本音を伝える必要がある気がして、遠回りな言い方をしてしまう。

その点、Rとは本音で話せるから本当にありがたい存在だ。
なかなかここまでご縁が続く友はいない。

 

そんなわけのわからない生物科に配属された私だが、いつ塾を辞めようか考え中だ。

なんせ来年2月に国家試験、模試の成績次第で就活スタートのタイミングが変わるのだから。
早く新入生入ってきてくれないかな。

とにかく今は、この生活を一生懸命生き抜こうと思う。

かしこ

宮城拝

R様足下

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送付日:2024/04/20

 

兄の話(Uへ)ー手紙の記録

病院実習が終わった3/30、兄と久々に会った。

京都に花見に来たらしいが、残念ながら今春は桜の開花が遅く、兄が来た頃にはまだ五分咲きだった。

兄の奥さん(以下、義姉さんと呼ぶ)も一緒に京都に来られていて、実は初めてお会いした。
結婚して半年以上も経つというのに。

兄夫婦と


初めてお逢いする義姉さんは写真以上に可愛らしい方だった。

第一印象は「顔ちっちゃ」。
母が義姉さんをアイドルみたいと言っていたのを思い出し納得する。

話すにつれ可愛いだけでなく聡明で芯のある方だと伝わってきて、兄やるやんけと思った。
桜なぞみられなくても、義姉さんがいるだけで華やかなのだ。

兄は義姉さんが可愛くて仕方なく、とかく溺愛しているらしい。
義姉さんは兄に甘やかされて、兄なしでは生きていけない、とまで言っていた。

義姉さんが兄を大好きと明言していたのがすごい。
兄の琉球魂というべき体毛の濃さも全部愛してくれて(これは本当にありがたい)、熊さんみたいと形容していた。
私からすると控え目に言って身なりを整えたジャワ原人だが、2人の間でうまくまとまっているなら、みなまで言うまい。

北海道土産で有名な「白い恋人」というラングドシャに対し、沖縄には「黒い濃い人」という菓子があるのをご存じだろうか。
兄はそのパッケージに書かれた顔に日に日に似てきている。

兄は昔からあの顔なので、やはり老けて見える。
兄は性格が温和で私はぼーっとしていたので、昔から我々兄妹は「老成しているね」「年の割りに落ち着いているね」などと言われてきた。
ぼーっとしている妹の面倒まで見なきゃいけないから、きっとしっかりもしていただろう。

 

兄は会社の新人社員の女の子に、宴席で「宮城さん老け顔~wwカラコン入れたら垢ぬけるんじゃない?」と言われ、その子のチョイスで灰色のカラコンを購入。
会社に灰色のカラコンを付けていったら、上司に「宮城、白内障か?」と言われたらしい。
おいたわしや兄上。
老け顔ゆえにつくづく残念な人なのだ。

でもいい人っちゃあいい人なのよ。
色々苦労してるしね。

そんな兄が素敵な女性と結婚できたこと、妹は嬉しく思う。
そしてそこに愛があることも感慨深い。

母さんも兄さんが結婚し身を固めて安心してるみたい。


「愚兄をよろしくお願いします。尻に敷いてくださいね。」と義姉さんに託し、兄に「甘いもん食いすぎると糖尿になるぞ」と忠告して別れた。

妹はのんびり自由に暮らさせてもらいましょう。

かしこ

宮城

U様

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送付日:2024/04/19

初詣(Rへ)ー手紙の記録

復拝。ポストカードありがとう。
無事に帰国できたようでよかった。

 

先日、初詣に伏見稲荷大社鞍馬寺に参拝した。

なんでもカズさんのおじい様が鞍馬寺の神主さんをされていらっしゃったそうだ。
カズさんのおじい様が他界された折には、鞍馬寺にご遺骨が納められたそうで、ゆかりあるお寺さんなのだそうな。

 

実はこの鞍馬、今の私の住む家の最寄駅から8分という近さ。

私は鞍馬から3駅の市原という場所に住んでおります。

小学2年生のころ、沖縄からはるばる家族4人で京都観光に来た時にも鞍馬に足を伸ばしたが、まさか十数年越しに鞍馬の近所に住むなんて思いもよらなかった。

カズさんも、自分に縁のある鞍馬の近所に住む沖縄出身の人間と関係が発展するとは思っていなかったらしい。

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11月の鞍馬

鞍馬山といえば、源義経鞍馬天狗に武術や兵法を習った所として知られているよね。

ここに来るたびに「よくこんな転けそうな所で修行したな…」と思ってしまう。

 

鞍馬はどうやら「暗間」「闇間」がもとになっているともいわれるそうで、なるほど確かに樹々がうっそうと茂ってものものしい。
こころなしか酸素が薄いような気がしないでもない。

本当は登山をするつもりだったけど、悪天候で足元が悪く、カズさんが足を負傷していたので、登りはケーブルカーに人生で初乗車。

登山するとカーブが多いし階段もきついので結構長く感じるけど、ケーブルカーだとめちゃくちゃ短かった。
2分くらい。
それでも野生のリスが走り回っている光景を目にすることができた。
猫も可愛いけど、野生のリスも可愛いね。

 

鞍馬寺に参拝しに来たのには目的があった。

先述したように、カズさんのおじい様の代までは神主さまをされていたこともあり、カズさんのご実家にはご立派な神棚がある。
その神棚には虎の阿吽の置物が祀られていて、その虎の置物こそ、鞍馬寺で毎年新春のみ授与される魔除けなのだそう。
カズさんは毎年、正月の鏡開き前に阿吽の虎の置物を奉納し、また本年分も神棚に祀るために足を運んだんだって。
私はのこのこと付き添うのみ。

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鞍馬寺本殿

ちなみに、なぜ阿吽の狛犬や狐ではなく虎なのかというと、鞍馬寺創立者の、鑑真の高弟鑑禎が鬼に襲われ、毘沙門天に助けられたのが「虎の月」「虎の日」「虎の刻」だったからなんだとか。

と偉そうに書き連ねているが、こういうことはRの方が詳しいと思うので、釈迦に説法でしたね。
すみません。

 

本堂や下山途中にカズさんのゆかりある場所に参拝した。
山頂から見える山の景色は、牛若丸の時代から変わっていないような気がする。

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鞍馬山の景色

登りはケーブルカーでわからなかったが、山を徒歩で下ってみると、昨年の大きな台風の爪痕がまだ色濃く残っているのがよくわかる。
木々が倒れ、土砂が積もって決壊し立ち入り禁止になった鳥居や神殿がたくさんあったのが嘆かわしい。

 

鞍馬寺・山を後にして、腹の虫が騒ぎ出したところで駅のすぐ近く「鞍馬かどや」というお店に。
ここの親子丼と山椒がめっちゃくちゃ美味しい!
次回鞍馬に足を運ぶ際には山椒をお送りするね。

 

鞍馬は何回か来たことがあったけど、毎回「また来たい」と思う、数少ない場所のひとつ。

以前くらま温泉で食べたぼたん鍋も美味しかったし、なにより人が温かい。

鞍馬山の山門でも、「拝観料」ではなく「愛山費」と書かれていて、感心した。
ぜひ、Rもお越しになることがあって、時間の余裕がある上に健康な時には、鞍馬界隈と私の住処に是非立ち寄ってみてね。
おまちしとります。

 

境内で入手した手ぬぐいを添えるね。
よければご活用くださいまし。

では、また。

かしこ

宮城拝

R様足下

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送付日:2019/01/22

新年の挨拶(Uへ)ー手紙の記録

新春を寿ぎ謹んでご挨拶を申し上げます。

Uは変わらずお元気でご活躍のことでしょう。

 

正月休みはゆっくりと過ごせましたか?
私はというと、年越しそばを作ったり、カズさんにお雑煮を作らせたり、初おせちを食べたり、基本食っちゃ寝ぇの三連休を過ごしました。

 

カズさんが晦日にテレビを買ってきてくれたので、年越しは生まれて初めて「ガキ使」でした。
(ご存知かわかりませんが、年末年始「ガキ使」は沖縄では放送されていないのです)

Uは楽しい年末年始だったかな。
そうだといいなと思います。

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おせちとお雑煮

正月休みはかなり暇で、伏見稲荷の初詣もすぐ終わった。
テレビでは漫才番組がたくさんあるけど(関西万歳!)、中田カウス・ボタンは同じネタばっかりだし、CM多いし、思いのほか早い段階で飽きてしまった。

カズさんは私以上によく寝るものだから、結局年末に買い溜めていた本を読み漁るほかすることがない。

 

村上春樹の本をいろいろ読んだ。

世間では村上春樹の熱心な読者を「ハルキスト」なんて呼ぶけど(事実、平積みのポップにも”ハルキスト大絶賛!”なんて書いていた)、実際のところ、村上春樹本人は「ハルキストじゃなくて村上主義者の方がいい」と言ってるんだよね。

私もその方がしっくりくる。

ハルキストってなんだかチャラい。

だれがハルキストって言い出したんだろう。
ここまで浸透するとは思ってなかったかもね。

 

ところで、村上春樹ヤクルトスワローズのファンらしい。

Uは以前、スワローズファンの人とうんざりするほど話をしたって言っていたね。
あの後、 気になって調べてみた。

 

マスコットキャラクターについて余計なことを書いておくと、つば九郎の他に「燕太郎」というのがいたそうなんだが、オリックスのバファロー娘のスカートを覗いてクビになった…と噂されている。

真偽のほどはわからないけど、引退したのは間違いないね。

ただ私もスカートの中を覗いている映像はYouTubeでみた。
なさけない。

でも、つば九郎は健全だ。自由奔放でかわいい。

 

一方で、中日ドラゴンズドアラは突然の奇行(静止芸)がたまに怖い。
つば九郎も静止芸するけど、なぜだかドアラだけ心配になるんだよな。
ドアラがバク転するときたまに苦しそうにみえる。

ドアラの哀愁は一体なんなんでしょうね。
よく見るとあの目も笑っていないんじゃないかと思えてくる。

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左:ドアラ 右:つば九郎

あと、カープスラィリーの見た目もう少しどうにかならないの?
マスコットというよりモンスター。
まぁ今更なんだけど。

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たまに鼻ピューするスラィリー

その点、トラッキーはかわいい。
悪戯好きで快活でいいですね。
見ていて元気が出てくるよ。
猫科の虎だし。
ゴー、ゴー、トラッキー

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元気いっぱいトラッキー

今日は以上です。

今年もUにとって幸せいっぱいの年になりますように。

かしこ

お餅食べすぎの宮城より

Uへ心をこめて

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新年の挨拶(Uへ)

送付日:2019/01/06

近況報告(Uへ)ー手紙の記録

前略。

先日はお手紙とチョコレート、ありがとう。

24年間の人生でホワイトチョコが美味しいと思ったことは無かったけど、今回のチョコレートは「特許取れるんじゃない?」と言いたくなるほど妙味でした。
トレボン!

加えてクランチチョコレートの、まごうことなき歯ごたえと舌触り。

食べる手が止まらなかったですね。

瞬く間に胃の中へ…。
めちゃくちゃ美味しかった。

重ねてお礼申し上げます。

 

私は先日、出張でアメリカに行ってきました。
お土産を添えます。

他にも色々詰めますので、よろしければお召し上がりください。

TOBLERONEはなかなか美味しいよ。
コーヒーによく合うし。
海外で買うチョコの中で唯一リピートしたのがこのトブラローネ。

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そういえばマンチェスター大学のWhitworth Park学生寮のあだ名がトブラローネって呼ばれてるよね。
上空から見るとまるで基地みたいだ。
確かに形が似てる。

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先日のお手紙ではUの最近の近況を書いてくれていたね。
というわけで、私も最近知った収穫を3つ綴ろうと思います。

 

①イチャイチャする

カップル等が「イチャつく」って英語で何と表現するかご存知ですか。
Lovey-doveyとか、Make outなんて使うこともありますが、オノマトペもあるみたいですね。

最近知ったのは、「バウチカワォワォ」あるいは「ブンティカマォマォ」です。
動物の鳴き声っぽい。
というか英語っぽくない。東南アジアの言語っぽい。

ちなみにスペルは”Bow-chicka wow-wow” あるいは”Boom-clacka mow-mow”です。
英語で表記するとなるほどだよね。
70年代のポルノ映画から生まれたスラングなのだとか。

積極的に使っていきたいですね。

 

②法医人類学者の解決法

出張先で偶然お会いした博士。

専門用語が多すぎて、正直何を言っているのか半分以上理解できなかった。

  • 宇宙飛行士は骨密度が低下する
  • タイヤ洗浄液の原液や殺虫剤みたいなフッ化水素酸が多量に含まれる液体に漬けると骨が溶ける
  • 骨は溶けることがないが、水分とマグネシウムのある環境下でマグネシウムの炎が15分以上燃え続けると500度にもなり、骨のミネラル分が結晶化して骨が溶けたように変形することがある

…とかいろいろ難しい単語が並びました。

途中まで一生懸命わからない単語を覚えようとしてみたけど、途中で諦めた。

 

唯一深く納得できたのは、信念が曲がりそうになった時、迷っている時の解決方法。
彼の場合は、「結果から原因がつかめない時、信念が揺らいでしまう」そうだ。

そんな時は、「理解できないことは多いけれど、目に映るものには、どんな結果であろうと原因があるはず。見抜けていないだけ。そうやって納得する」のだそうだ。

この表現に勉学の意義を見出したような感じがした。

  

③知人の結婚談

飲み仲間(35歳男性)が先日結婚したらしい。

実家が近所の幼馴染で、かなり長い付き合いなのだという。

少女漫画以外でご近所幼馴染恋愛の実例とは初めて遭遇した。
親同士も大変盛り上がって、結婚式とは別に結納までしたとのこと。

 

この結納というのが私の予想以上だった。

会場や食事代など結納式の費用が約20万、結納金に100万(!!)、結納金とは別に(!?)結納品20万、両家の御親類の交通費や宿泊費で15万円ほどかかったという。

なんやかんや出費がかさんで、結局その方は結納だけで180万円近くかかったらしい。

 

居酒屋で結婚の話を切り出した時には背筋もしゃんと伸びてハキハキしていたのに、話終わる頃には深酒が理性を砕いたのか、

「伝統とは名ばかりで、お金ばかりが雲散霧消した!伝統というのは押し付けじゃナァ〜イ!」

と襟袖まくってボヤき散らしていた。

結納をしたからといって幸せな余韻を味わえるわけでは無いという結果を目の当たりにできた点では参考になった。

個人的には結婚式もしたくないし(家族同士の食事会で十分)、結納なんて念頭にも無いのだが。
例えどれだけ億万長者になっても、この意思は変わらないな。

 

誤解しないでほしいんだけど、結婚行事自体は全く否定しないよ。
ブライダル産業は堅調で業界規模も伸び率こそ鈍いけど、10年連続増加している(晩婚化で1組あたりの結婚式単位が上昇している背景もある)ということは、ブライダル産業が廃れていないことの証明だ。

伝統や通過儀礼を重んじている方も沢山いらっしゃるし、高砂の席やウエディングドレスを長年の憧れに思っている女性も少なくない。

なにより実感が湧き、責任感を自覚するいい機会だ。

 

ただ、私の場合に限っていえば、それだけ結婚式や結納に費用を充てるのならば飼い猫に費やす方が私もHappy、猫もLuckyだ。

家族でご飯を食べて、実家から歩いて10分の沖縄の海辺で記念写真が撮れれば幸せいっぱい。
そのとき帰る家に猫がいてくれたら、これ以上の幸せは無い。
幸せの形は人それぞれだよね。

 

その方にはご祝儀代わりにヘパリーゼWを差し上げた。

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実家近くの海

とまぁ、最近起こったことや印象に残ったことはこんな感じでしょうか。

他にも色々あったような気がするけど、一元化ノートを職場に忘れたので、また思い出したらしたためてお送りします。
(一元化ノートとは、日々の予定や日記、資料まで何でも書き込んじゃっている手帳のことだよ)

今日はこのへんで。では、A+.

宮城拝

U様へ

 

P.S. 「A+」というのはフランスの友人から聞きました。
「A plus tard」を略した言葉なんだって。
意味は「またね」。

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近況報告(Uへ)

送付日:2018/11/28

恋愛相談の返信(Uへ)ー手紙の記録

 

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尊書拝読。

こちらこそ、Uが京都を離れる前に会えて嬉しかった。

大学卒業、本当におめでとう。

 

Tさんと卒業を機にお別れしたと聞いて驚いたけど、Uが決めたことだからきっと思うところがあったんだね。

「元彼とは友人に戻れるものか?」という質問にお答えする。
個人的な意見として聞いてね。

 

複数人の集まりの中なら普通に話せるとは思うけど、完全な友人は無理だろうな。
過去の交際相手も含めて、付き合ったのかどうかも分からない人もいるので一概には言えないが。

ほとんどの場合は、Facebookで繋がっているかいないか…くらい。

たいていの人は、今どこで何をしているのかもわからない。
SNSで見かけてもお互いそっとしている。
もし道でばったり会ったとして、普通に挨拶やお茶くらいはできると思うけど、元どおりの友人関係ではないと思う。
とっても薄い付き合い。

 

例外と言えるのは、アメリカで知り合った同性愛者の男の子と、Uもよく知っているJ君くらいだろうか。

アメリカの男の子は、付き合っていることにはなっていたけど、内容は異性恐怖症のリハビリだったので、カウントにならないと思う。
今はみんなと一緒に遊ぶ友人関係。

性格とか諸々違うところはあるだろうけど、年齢・分野的にTさんに近いのは恐らくJだと思うので、少しJのことについて言及したい。

 

Jと付き合っている間は、毎回イベントごとにWordで一枚半以上の長文と、十分程のラジオ風ボイスメッセージが送られてきた。
(イベントとは、付き合って100日記念、誕生日、クリスマス、バレンタインとか…。これが結構面倒だったとは口が裂けても言わない)

 

別れは私から切り出した。
Jはいい人なので、傷つけないように言いたかったのだけど、嫌われるように仕向けた方が今後やりとりもなくなるし楽だと思って切り出してみたら、うまく表現できず後味も最悪。

以降長い間お互いに音沙汰なし。


別れた一番大きな要因は、付き合っている間に本音で言い合っていなかったことだと思う。

私が和解する努力を怠って、どこかで年上の余裕を求めてしまっていた。

こっちが本音でぶつかったり指摘したら相手も本音でぶつかってくれるか聞き耳を持ってくれると勝手に信じていた。

Jは怒られ慣れていなかったようで、何かを指摘したり不満に思っていることを口に出すととても不機嫌になり、しばらく口をきかなくなって大きな喧嘩に発展しなかった。

放置していたらそのうち機嫌が直るから、結局解決策は見出せ無いままなんとなく処理されていて、お互いにストレスを溜めていた。

Jもきっと年上らしく喧嘩に発展しないように、と波風立てないよう努めて、私に指摘できないことはたくさんあったんだろう。

でも結果的にはこれがいけなかった。

喧嘩するほど仲がいいとはよく言ったもので、喧嘩や本音の衝突、あるいはどちらかの妥協がないと人間居心地よく長いこと付き合えないものだ、と今になって思う。

自分自身の反省材料も数々見つかったことだし、経験は一生の財産だね。

 

本来は、別れたし連絡もしないでいいか、と思っていたのだが、急に西城秀樹さんが亡くなった。

ヒデキが亡くなってあまりにもショックだったし、そもそもヒデキを教えてくれたのはJだったから、衝撃のニュースとして連絡をしたのが仲直りの嚆矢だった。

それから一度電話した。

当時の悪態の謝罪や状況説明をして安心してもらったり、お互いに恋愛沙汰含め軽く現状を話したりした。
(まだウジウジしていたので別れて良かったと思ったのはここだけの話)

以降は「地震大丈夫?」くらいのやり取り。

 

ということで、別れた後に限っては、そういう経緯もあって以前と同じ…とまでは言わないが、他人にJを紹介するなら”友人”くらいの距離感になった。

恐らく今後は自然消滅でしょうね。
少なからず私はそれを望む。 

 

ここまで私の話をしてきましたが、私よりずっと恋愛経験が豊富なカズさんにも、元カノとの関係は友人に戻ることはあるのか、関係が続くことがあるのか聞いてみた。

「全くない」らしい。

その方が後腐れないからだそう。
私もその方が合理的で良いと同感するね。

 

だらだら書いていたら長くなってしまった。
このあたりで筆を置くことにします。

季節柄、どうか体調には気をつけてね。Uの良き出会いを祈願して、乾杯!

今は首輪つき・宮城拝

U・C様足下

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恋愛相談の返信(Uへ)

送付日:2018/10/09